特別受益とは、複数の相続人うち、特定の相続人が生前贈与や遺贈、死因贈与が行われたことで得た利益のことをいいます。
相続人の中に特別受益を受けた者がいた場合、原則は相続分は法律で公平に一定割合定められているため、特別受益の分に関しては不公平になってしまします。しかし、相続人全員の合意がある場合などは、法定割合を超えた相続財産の分配も可能です。
そのため、遺産分割協議を行う際には特別受益分も相続財産として遺産分割を行います。
特別受益については、民法において下記のように定められています。
”共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。“
（民法第903条引用）
特別受益の対象となる財産
- 土地や建物の無償使用
- 居住用不動産の贈与
- 生計の資本としての贈与
- 学費
- 生活費の援助
- 家業を継ぐ子へ事業用資産の贈与
- 動産や有価証券、金銭債権も贈与 など
特別受益を考慮した遺産分割協議
くり返しになりますが、相続人の中に被相続人から遺贈や生前贈与等の特別受益を受けた相続人がいる場合、特別受益を含めた上で遺産分割協議を行うことになります。
この特別受益は、遺産分割時においてすでに消費されている財産も含みます。
- （例）父の遺産3,000万円
母は死去、長男：生前贈与600万円、次男：生前贈与なし
本来の相続分（等分）…（3,000万円+600万円）÷2＝1,800万円（一人分）
特別受益を考慮し、兄はすでに600万円の生前贈与を受けているので残り1,200万円、弟は1,800万円を受け取ります。
