相続税において利用できる控除

こちらでは、相続税申告における控除についてご説明します。

そもそも「控除」とはある金額から一定の金額を差し引くことであり、相続税においても控除を利用できるため減額が可能です。

控除にはそれぞれに要件が定められており、要件を満たすことで適用できるようになります。場合によっては、控除を活用し、最終的な納税額がゼロになることもあります。

一部の控除は除きますが、納税額がゼロになった場合でもその旨を記載した申告書を提出する必要があるため、申告を忘れないようにしておきましょう。

なお、相続税では「申告納税制度」を採用しており、相続税を計算し、控除や特例を用いながら申告、納税をご自身で行わなければなりません。

特例を知らないまま納税をして、本来の支払い額より多く納税していた場合でも税務署が自動的に還付することはないため、相続税の申告にかかる計算は慎重にかつ正確に行わなければなりません。

配偶者控除

「配偶者控除」とは、正式には配偶者の税額の軽減といい、亡くなった方に配偶者がいる場合に受けることができる税金軽減制度です。

被相続人の配偶者が実際に取得した遺産額が、下記のどちらか多い金額までは配偶者に相続税は課されません。

1. 法定相続分相当額
2. 1億6,000万円

配偶者控除の適用を希望する場合は原則、相続税の申告期限内に遺産分割が完了している必要がありますので、注意しましょう。
仮に配偶者の財産が1億6000万円を超過した場合であっても、法定相続分の範囲内に収まっている場合には控除の適用が可能になります。

未成年者控除

未成年者に対しても、相続税の控除があります。

法定相続人である未成年者が18歳になるまで1年につき10万円が控除されます。控除額の計算式は下記のとおりです。

未成年者控除額＝10万円×（18歳－相続開始時の年齢）

適用条件

• 法定相続人であること
• 相続開始日に未成年者であること
• 相続または遺贈により財産を受け継いでいること
• 日本国内に住所があること

障害者控除

相続人の中に障がい者が含まれる場合、対象者が満85歳になるまでの年数に応じて控除が設けられています。

一般障害者は1年につき10万円、特別障害者は1年につき20万円が控除されます。

• 一般障害者　(85歳－相続開始時の年齢)×10万=控除額
• 特別障害者　(85歳－相続開始時の年齢)×20万=控除額

贈与税控除

被相続人が亡くなる3年前までに贈与を受けた相続人や受遺者は、各相続人の相続税の課税価格に贈与分を加算して計算することになります。

しかしながら贈与を受けた際に贈与税を支払っていた場合は、その分に関して相続税から控除することが可能です。

相次相続控除

「相次相続控除」とは、相続開始前10年以内に、相続する財産に相続税が課されていた場合、相続税額から一定金額を控除する制度です。

1度目の相続時に被相続人に相続税が課税された場合、1度目から2度目までの年数に応じて、相続税額10％の割合で逓減した額が相続税額から控除されます。

外国税額控除

日本以外の国でその国の相続税にあたる税金を納めていた場合、納めた税金額の範囲で日本国内での相続税が控除されます。

（適用条件）

• 相続によって国外の財産を受け継いだ人
• 国外の財産について、その国で相続税に相当する税を課税された人

冒頭でも既述したとおり、相続税では申告納税制度が採用され、相続税申告に慣れている方でない限り、専門知識も必要な相続税の計算は納税者にとっては大きな負担です。

また、期限を過ぎた場合や計算ミスなどにより少なく申告してしまった場合は、ペナルティとしてさらに税金を課されるケースもあるため、ご自身の相続税についてご不安な点がある方は専門家にご相談・ご依頼し、的確なサポートを受けることをおすすめします。

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